鼠径ヘルニアとは
- 一般的には脱腸と呼ばれるもので、こちらの言葉の方が馴染みのある方も多いかもしれません。これは筋膜の間から腸などがはみ出してしまい、皮下に腸がある状態を言います。足のつけねの部分である鼠径部で起きるのが特徴です。
- 脱腸と聞くと子どもに起きやすいと考えられがちですが、この場合は先天的なものがほとんどです。先天的とは、胎児の際に本来なら自然に閉じるはずの腹膜の穴が閉じられないで残ってしまったままの状態にあることを言います(外鼠径ヘルニア)。
- またこれ以外にも成人になって加齢などによる影響で腹部の筋肉の壁が衰えることで、筋膜の間から臓器が飛び出してしまうと後天的な原因による鼠径ヘルニアも少なくありません。なお後天性の場合は、中高年の男性が多く、職業的に腹圧のかかりやすい仕事に従事している方にみられることが多いです。これは内鼠径ヘルニアとも言われますが、喘息の患者さん(咳をよくする)、便秘や前立腺肥大によってトイレでよく力む、喫煙、腹圧のかかりやすい妊婦さんなども発症しやすいと言われています。
- 主な症状ですが、初期の頃は皮下に軟らかい膨らみを感じますが、手で押さえることで元に戻るようになります。このほかには、突っ張られる感覚や違和感を覚えるといった状態がみられるようになります。そして症状がある程度進行するようになると軟らかかった膨らみは硬くなっていき、出っ張った部分を手で押さえたとしても元に戻らなくなっていきます。また強い腹痛や吐き気も感じるようになります。このような状態を嵌頓(かんとん)と言うのですが、この場合は速やかにご受診されるようにしてください。
治療について
- 根本的な治療をする場合は、基本的には手術療法となります。主に鼠径部切開法と腹腔鏡下ヘルニア手術があります。
- 前者は、飛び出している部分(鼠径部)を5㎝程度切開し、まず筋膜より奥に飛び出た部分を戻していきます。そして飛び出た部分にメッシュを敷くなどして穴を塞ぐ、筋組織を縫合するといったことを行っていきます。これは全身麻酔をする必要がなく、日帰りで行えるのも利点です。
- 後者は腹腔鏡手術で、腹部に小さな穴を数ヵ所開ける程度で済むので傷口は小さくて済みます。腹腔鏡で飛び出た部位を腹膜の中に戻し、飛び出た部位にメッシュを敷いて穴を塞ぐようにします。手術時間は長く、全身麻酔も必要になりますが、術後の痛みは少ないとも言われています。
- 診療科目
- 内科、消化器内科、外科、肛門科
- 院長
- 須藤 日出男
- 所在地
- 東京都大田区上池台4-6-5
- アクセス
- 東急池上線「長原駅」徒歩6分